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こ れ く ら い も 、い い く ら し 。

淡路里山を未来につなぐ会/田舎暮らし/淡路島

写真・・・ayako mogi  文・・・山本 梓

淡路里山を未来につなぐ会/田舎暮らし/淡路島
 
File18
 
辻 淳三   Tsuji  junzo
(淡路里山を未来につなぐ会代表)
  

1978年 徳島県徳島市生まれ

高校を卒業し、三田の救急救命士の専門学校へ進学

1999年 淡路広域消防事務組合への就職をきっかけに淡路島に移住

2012年 現在の洲本市安乎の古民家暮らし開始

築40年の古民家をリフォームして薪ストーブを設置したことをきっかけに持続可能な自然エネルギーに興味を持ち始める。

2015年に淡路里山を未来につなぐ会を発足させ、約30年間放棄されていた里山の再生を始め、現在に至る。
 

1.古民家暮らしを始める

辻さんを訪ねる道すがら、傍に広がる木々のその威圧的な荒々しい姿に圧倒されてしまった。ここ淡路島はその大部分を山に覆われている。遠景で見ると美しい山々もこうして近づいてみると、生命力あふれる木々が強い自己主張を発揮し、上へ横へと競り合ってこちらに迫ってくるよう。
本日取材させて頂く「淡路里山を未来につなぐ会」代表の辻さんのお宅は、国道28号線の平安浦信号から山の方へ車を10分ほど走らせ、細い一本道を登った先にある。以前住んでいた大工さんが自分で建てたというとても立派な古民家に、辻さんは伊弉諾神宮で以前巫女をされ、現在も教婦(きょうふ)として勤めている奥さんと3人の子供たちと暮らしている。
台風明けでまだ少し小雨が残るなか、子供達と出迎えてくれた。
家の周りは、辻さんが有機栽培されている畑や、土地の持ち主が以前していたという田んぼ、お父さんが植えたという様々な果樹、そして深い山に囲まれている。辻さんが切ってきたという丸太も薪割りされ綺麗に山積みされて置かれている。
辻さんは、淡路広域消防に勤務する現役の消防士さん。徳島出身の辻さんがここ淡路島に来たのは18年前、消防士になるために。こちらの古民家に越してきたのは家族が5人になる頃。知り合いの方に紹介してもらったというこのお家を、これまた知り合いの設計士さんと大工さんとともに手を加えた。解体作業など自分たちで出来るところは自分たちでし、立派な梁は子供たちと磨いたそう。リビングの一番いいところには薪ストーブが置かれている。この薪ストーブこそ辻さんの今の活動のきっかけとなっている。

2.里山再生のために

薪ストーブを入れたことにより、持続可能な自然エネルギーに興味を持ち始め、木や山について調べるようになったそう。
昨年より、兵庫県住民参画型里山林再生事業で居住地周辺の森林環境の整備と鳥獣害予防に取り組んでいる。地域の方が所有している山2町(2ha)を事業地とし、同じ思いを持つ仲間6人と、隣保の方5人にも署名してもらい「淡路里山を未来につなぐ会」を発足させた。秋から春にかけて定期的に山に入り、山に必要な木は残しつつ、間伐を行う。少しずつ道を作っていきながら、徐々に手を入れている途中。
人の暮らしに密接に関わり循環していた里山の自然は、人の手が入らなくなり荒廃していく一方。里山再生と保全。燃料として、建材として、家具材としてなど、活用方法はたくさんあり、また里山の保全は、ひいては減災にもつながる。
「子供、孫の世代へ豊かな山を残したい。7代先までとは言わないけれど、親父の背中を見て何か感じるものを残せたら。」と熱い想いが溢れる。
「まだまだ模索中で知らないことだらけ。本を読んだり、先人に学んだり、ネットで調べたり。
先日は淡路島の植栽に詳しい方と山に入り、必要な木、伐採した方がいい木、貴重な木などを教えてもらった。山の中で2、3時間過ごすうち帰り道がわからなくなった。」と大の大人が二人して迷子になったエピソードまで教えてくれた。
「木ぃ欲しいにやんよー(兄やん)」と近所の方に呼ばれることも多々。
邪魔な木を切って欲しいと依頼されたり、台風で倒れた木や、廃材として出た木をいただいたり。「山のことに詳しい人になりたい。木の事、竹の事、山の事を誰よりも知っているプロフェッショナルに。辻に聞いたらなんでも知っとんで、と言われるようになりたい。」と話す。

3.いざ出動!!

「じゃあ、木を切りに行きましょうか。」と車で数分のところにある事業地へ案内してくれることになった。辻さん運転の車に乗せていただいたのだが、家の前の細い下り坂をまるでジェットコースターのように駆け下りる。その辺りさすが消防士さん、安全運転に務めながらも現場に急行する使命感を持ち合わせている。乗ってる私たちは必死に掴まれるところを探してしがみつく。
到着すると「準備します。」と最小限の動作で素早く、廃棄の消防用ホースで自作したという腰道具をつけ、淡路里山を未来につなぐ会と書かれたヘルメットをかぶり、チェーンソー抱え準備完了。とてもよく似合う。普段放水ホースを持つ手は、チェーンソーに持ち変えられ、伐採する木を見分けていく。慣れた動作で木に受け口という切り込みを入れ、反対側からチェーンソーを入れていく。辻さんの動作は無駄がなくあっという間に倒木してしまったので、シャッターチャンスを逃してしまった。

4.物々交換

切ってきた木や廃材としていただいた木は、薪にしたり、木工作家さんへ材料として提供したり、必要な人と分け合う。薪と交換したという耐火煉瓦で庭にピザ窯を作ったり、木工作家さんから頂いた立派なサクラの木の器があったり。桐の木で今まな板を作ってもらっていて、木を乾燥しているところとのこと。出来上がりを待つ時間もいいなぁ。
野菜もそう。辻さんは、現在10種類ほどの野菜や藍などを、無農薬有機農法で育てている。もみ殻を燻炭にし畑に鋤き込んで肥やしにしたり、落ち葉を拾ってきて発酵させて堆肥を作ったり、種は少しずつ自家採種にも挑戦し未来に繋げ、とできるだけ自然な方法を模索しながら作られている。「子供たちが、おいしーって言って食べてくれる。」と顔を綻ばせる。沢山採れたお野菜が、知り合いのシェフの自家製ハムになることも。何とも贅沢。。

5.過去、現在、未来をつなぐ存在に

辻さんは、昔当たり前にあった暮らしを未来につなげようとしている。先祖代々が営々と育んできた、自然と共に生きるシステム、人と人とのつながり、支え合い、身近にあるものをうまく生活の中に取り込んでコンパクトに暮らすことを実践している。
まだまだやりたい事はあるようで、次は炭窯を作れたらと話す。
30年前から鮎原で炭焼きをされている方との出会いがあり、炭窯作りや炭焼きの方法をご教授してもらえることになったそう。
未来へつながる循環が生まれたらと模索しながら行動に移す。辻さんの話を聞いていると自然体で欲がない。でも強い想いがある。本物とはそこに想いが伴ったものだと思う。仲間が集まるのは、そこに心があるからで、その想いに惹かれ共感する。小さな力もそこに仲間を巻き込んで大きな力に変えていくことができる。小さな日々の積み重ねこそが、未来を作っていく。豊かな山を、自然と共にある暮らしを未来に繋げていけるように。

コ ミ ン カ - 、 い い 感 じ 。

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