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こ れ く ら い も 、い い く ら し 。

森のようちえん まんまる

写真・・・ayako mogi  文・・・山本 梓

森のようちえんまんまる/田舎暮らし/淡路
 
File16
 
佐藤  明希  Sato Aki
1980年      東京都板橋区生まれ
2003年  明治大学農学部卒業
2005年  鳥取大学大学院農学研究科修了
~ 
2013年    岐阜・長野で計8年間自然学校に勤務 
       環境教育、キャンプ指導、登山ガイド、森林整備、薪づくり、野外料理、
       クラフト、野外ゲーム、スキーインストラクター、スノーシューガイドなど

2006年  西アフリカの太鼓とダンスを楽しむ仲間たち「SABUNYUMA」に出会い、
                大地と生活と共にある音楽に魅了される
      長野県上田市で、仲間と「UEDA★SABUNYUMA」をはじめる
                2010、13、14年 ギニアに渡り、村や首都で生活しながら太鼓とダンスを習得

2014年    香川で野外保育の立ち上げと保育士として勤務
2015年  淡路島に移住し、『森のようちえん まんまる』を仲間と立ち上げ、代表
       を務める
2016年  淡路島の仲間と、アフリカングループ「アワジカン」をはじめる

その他、絵を描いたり、歌ったり、洋服をつくったり、土いじりしたり、保存食つくったり・・・
好きなことと愉快な仲間に囲まれながら、手作りの衣食住を目指して、淡路島での日々を満喫中。
 

森のようちえん まんまる
淡路島マンモス
兵庫県洲本市中川原町中川原1495

1,まんまる

鋭い太陽が照りつける夏休み真っ只中の8月、私たちは『森のようちえん まんまる』のある淡路島マンモスへ、代表を務める佐藤明希さんに会いに行った。
そこは、優しく木漏れ日が差し、風が爽やかに通り抜けるとても心地の良い場所だった。
おおよそ、ようちえんという言葉に似つかわしくないありのままの自然の一部を切り取ったようなこの場所が遊びのフィールドになる。
子ども達の楽しそうな会話と笑い声が朝の森に響く。
『まんまる』では、朝の会があり、子ども達がお話したいこと、困っていること、やりたいことをそれぞれ話すことから1日が始まる。一日を、自分たちで創り出していく。
葉っぱが、貨幣になり、切符になり、木陰に作られたハンモックが病室のベッドになり、出産に立ち会うこともあるという。時には自然の実りを口いっぱいほおばったり、近所の方が働く様子を真似してみたり。
「何もしない時間があってもいい。自分の気持ちに従い、認め、表現できるようになることで、子ども達は自分を知り、自立することができるようになる。」

※ 淡路島マンモスではプレーパークとして一般の方にも解放しています。この日も一般の方がいらっしゃいました。
※『森のようちえん まんまる』ではお子さまたちが安全にすごすための、いくつかのやさしい約束事があります。詳しくはお問合せください。

「森のようちえん」とは 
 自然体験活動を基軸にした子育て・保育、乳児・幼少期教育の総称。 森などの自然豊かな場所で、子どもの主体性を尊重し、仲間や自然との関わりの中で自分で考えて行動できる、健やかな心身を育む。日本各地に現在では150団体以上が活動し、「森のようちえん全国ネットワーク」など、横の交流もさかん。

2.実存的観察者

今日は忍者ごっこだそう。木の根がボコボコと膨らんだでこぼこ道を全速力で駆け抜け、幼木を飛び越える。「あじめちゃんもう一回ね。」と何度も何度も私たちの前をダッシュする姿には感服させられる。保育者という立場ながら、全力で子ども達と遊び、笑い、走り回る。子ども達と同じ目線で過ごし、常に子ども達の気持ちを認め、寄り添い、尊重する。共感性と客観性を持ちながらその場に存在し、必要ならば手を差し伸べる。徳島にある、自然スクールトエック代表の伊勢達郎さんに学んだ、実存的観察者という姿勢を大切にしているそう。
「待つことが大切。けんかすることや何かに挑戦する気持ちを、大人が危ないからと一歩手前で止めてしまうことが多いような気がする。子どもの気持ちを受け止めきれなかったり、ジャッジしてしまうから、子ども達の気持ちの行き場がなくなってしまう。私は、気持ちの交通整理をするだけなんです。」と話す。
キラキラした子ども達の笑顔は木漏れ日になり、笑い声は木々の間を吹き抜けるそよ風になり、全てが自然と一体になっている。自然がそこにあるように、ありのままに心のままに過ごせる自然な姿がそこにはあった。

3,アジメドジョウ

子ども達から「あじめちゃん、あじめちゃん」と呼ばれている佐藤さんに、名前の由来を聞いてみた。「あじめ」という名前は、日本固有種のアジメドジョウに由来するそう。大学時代、農学部で土壌学(ドジョウ学)を学んでいた、ドジョウつながりから。
「味のある女と書いて味女、いい名前でしょ。」と本人もお気に入りの様子。私たちも親しみを込めて「あじめちゃん」と呼ばせていただきます。
大学卒業後は、大学院へ進学し乾燥地の研究をする。本人が転機だったと語るこの頃に、東京にいた頃には感じられなかった自然の移り変わりを感じ、次の季節を楽しみと思える感性が生まれたそう。その後インタープリターの仕事に興味を持ち、岐阜、長野での自然学校の仕事に従事するが、そこでの暮らしは自然を感じる余裕もなく多忙を極める。「自然学校に勤めているのに、生活は不自然だった。」違和感を抱えながら働くそんな日々に、森のようちえんとの出会いが待っていた。のちに趣味を越えライフワークの1つにもなるアフリカンダンスとジェンベに出会ったのもこの頃。「でも一歩を踏み出すのに5年かかった。頭で考えてしまう、慎重派なんです」と語る。最初の一歩までは時間がかかったが、それからは急ぎ足で進んでいく。

4,ツナガル

香川で森のようちえんの保育士として1年働き、その間ちょくちょく訪れていたここ淡路島で淡路島マンモスの持ち主である大小島さんと出会い、『森のようちえん まんまる』が動きだす。
「ハードを持っていた大小島さんと、ソフトを持っていた私たちが出会ったことで始まったんです。この場所があったから来られた。ご縁があったんです。」と話す。
また淡路島で出会った仲間と、アフリカングループ「アワジカン」としての活動もスタート。
「淡路島に越して来たのは2015年3月、まだ1年と少ししか経っていないのに淡路島に来てからツナガルスピードが速い。まるで10年来の友人のように、普通に未来の話、夢の話ができる仲間がたくさんできた。」心を通わす仲間ができたここ淡路島で、移住者としてではなく、地に足をつけて暮らしていきたいと話す、あじめちゃん。すべての経験がここ淡路島で一本の線になって繋がっていく。

5,日々を暮らしています

「日々を暮らしています。」
普段どう過ごされていますか?とのこちらの問いにあじめちゃんから返ってきた答えにハッとした。何気ないことだけれど、無意識にできることではない。自分の気持ちに寄り添い、暮らしに丁寧に向き合う、あじめちゃんだからこそ出てくる答えだと思った。
「手作りの衣食住」あじめちゃんの口から折に触れて出てくるこの言葉、「手の届く範囲は手作りしたいんです。」との言葉通り、梅干しを漬け、ビワの葉で傷薬を作り、化粧水やアフリカンダンスの衣装まで手作りする。日々の暮らしを自然体で楽しんでいる姿に、暮らしの豊かさを教えてもらった気がする。

6,recomincaへ一言

「私の周りにも移住を希望し古民家を探している人は多くいるので、うまく情報を出してくれたらいいなぁ。空き家はたくさんあるけど、家を貸そうと思ってもらうには、今住んでいる私たちがきちんと暮らしている姿を見せることが大事だと思う。」と貸す側への配慮まで。心強いお言葉をいただきました。
 
『森のようちえん まんまる』
2015年4月に開園した、淡路島初の森のようちえん。
・自分の「今、ここ」の気持ちを大切にする 
・心、体、五感をフル活用して思い切り遊ぶ
の 2 つを大切に、淡路島の豊かな自然の中で遊んでいます。
通年参加の他、一日預かり、親子体験も受付中です。 
ご興味のある方は、ぜひお問合せください。

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