写真でもわかるようにかなり屋根に損傷があります。
この損傷具合の見極めが非常に難しいです。天井、床、壁の仕上げをめくり、主要な構造材が痛んでないか、痛んでいてもそれは部分的な補修でいけるのか、全体まで及んでいるのかを調査する必要があります。この建物の場合は、昔ながらのつくりのままだったので、小屋裏に上がって柱や梁の状態を確認することができ、あわせてシロアリの調査も行い無事を確認して進めることができました。
逆に現代的に改装された建物はそういう内部の調査が難しい場合があり、見極めるのに苦労します。正直、仕上げをめくるまでわからないことのほうが多いです。増改築を繰り返した建物はやっかいです。
この建物は台所の屋根が完全に抜け落ち、自然光が燦々と振り込んでいます。もちろん、雨、風、も。梁が完全にくさり、抜け落ちている状態でした。ですが、さいわい部分的には朽ちていますが、主要な構造部はほとんどがしっかりしていて、大工さんにもお墨付きをいただけるほどです。
建物の状態の調査とあわせて、実測を行います。昔の建物はほとんどが図面らしいものはありませんので、一からの実測が必要です。
住宅で複雑な建物でなければある程度のモジュールが決まっているので、それほど難しい作業ではないのですが手間のかかる作業です。
人がすまなくなって手入れされなくなった家は、すぐに自然に帰ろうとしていっているように感じます。それぐらいのスピードで朽ちていってしまいます。
できるだけ早く、使っていただける方を探し、建物を引き継いでいくということも、さらにはその周辺に根付いている、歴史、文化、人間関係を引き継いでいくという意味でもとても大切なことのように思います。